子犬の歯磨きを無理なくスタートするコツと具体的な方法
私が、一番オススメしたいコラムです。
何故かというと、私がブリーダーになるもっともっと前に一緒にいた子達には、歯磨きなどせず、歯磨きガムのみで、歯磨きの重要性がわかってなかった駄目な飼い主だったからです。
歳をとってから、歯が歯周病で頬に穴が開くというどうしようもないところまでいっていてしまい「なんでもっと歯を大事にしてあげれなかったんだろう…」と後悔でいっぱいでした。
今の我が犬舎の子には、歯磨きは欠かせない習慣になっています。
だから、もしこれを読んでくださっている飼い主さんで、歯磨きまだしてないという飼い主さんがいらっしゃいましたら、私のような思いはしてもらいたくはないのです。
ドライフードを食べているわんちゃんでも、歯磨きは必要です。
食べかすを放っておくと細菌が繁殖して、歯周病の原因になってしまうからです。
歯周病は進行すると、最終的に抜歯しないといけなくなります・・・。
また、3日で歯石になると言われています。
歯周病・歯石を予防して、いつまでも健康な歯を保つためには、子犬の頃にしっかりと歯磨きの習慣をつけさせることが大切です。
子犬にストレスなく歯磨きを覚えてもらうには、どのようなコツや方法があるのでしょうか?
■子犬の歯磨きはいつから?
歯磨きはいつから始めるのが理想的なのでしょうか?
まずはわんちゃんの歯磨きの基本知識として、歯磨きの理想的な開始時期や頻度、成犬との違いをご紹介します。
◇理想的な開始時期
歯磨きの開始時期は、子犬をお迎えしたら早速スタートするのが理想です。
離乳する頃には歯が生えてくるので、歯が生えると同時に歯磨きも開始しましょう。
いきなり歯を磨こうとするのではなく、口や口腔内を触られることに慣れてもらうことから始めるのがポイントです。
◇ベストな歯磨きの頻度
理想的な頻度は、毎食後に行うのがベストです。
毎食後の歯磨きが難しい場合は、1日に1回でも大丈夫です。
口腔内のトラブルを予防するためには、最低でも1週間に1~2度は歯磨きを行うようにしましょう。
◇大人の犬との違いは?
子犬はまだ乳歯です。
乳歯はいずれ抜けてしまう歯なので、成犬のように歯のケアを徹底して行う必要はありません。
歯をケアするという目的よりも、口や口腔内を触らせることや、歯磨きそのものに慣れさせることが目的なんです。
■歯磨きのコツ
歯磨きを嫌がる・・・
歯磨きをしていたら血が出てしまった・・・
こういったトラブルは、子犬に歯磨きをするときによく起こります。
歯磨きをするうえで多く報告されているトラブルの原因や解決法を紹介しますね。
◇子犬が嫌がる場合はこうする!
子犬が歯磨きを嫌がるのは、ストレスを感じていることが大きな原因です。
嫌がっている子に無理やり歯磨きをすると、余計に歯磨きが嫌いになってしまいます。
特に子犬は抵抗する力が弱いので、無意識のうちに飼い主さんが押さえつけてしまっていることもあります。
指やブラシも子犬にとっては異物なので、いきなり口の中に入れられることを嫌がるのは当然です。
いきなり口の中にブラシや指などを入れるのはやめて、徐々に慣れてもらうことがとても大切なんです。
歯磨きに慣れさせる方法としては、褒めながら行うと効率的ですよ。
口の前に指やブラシを近づけても嫌がらず、大人しくしていられたら、すかさず褒めます。
そして、口にブラシを付けたり、口の中にブラシを入れても大人しくしていられたらすぐ褒めましょう。
私は「いいこだね~いいこだね~」と磨いてる間言っています(笑)
褒めながら徐々にステップアップしていく感じですね。
嫌がったり暴れたりする場合は、叱るのではなく、行為を中断します。
1日ですべてを行うのではなく、時間をかけながら根気よく続けることが、歯磨きを嫌いにさせないための秘訣です。
また、子犬が集中できる時間には限界があります。
一度に歯磨きトレーニングに費やす時間は、長くても5分くらいを目安にしましょう。
◇歯磨きで血が!どうする?
歯磨きで出血が見られるのは、次のような原因が考えられます。
- ブラシが硬すぎるから
- 乳歯が抜ける直前、または抜けたあとだから
- 力強く磨きすぎ
ほかに歯周病も考えられますが、子犬の場合はまだ歯石の蓄積が少ないので、可能性としては低いですね。
出血対策としては、使用しているブラシを柔らかいものにしたり、力加減を優しくしたりすることです。
歯磨きの力加減は、磨くというよりも歯茎をマッサージする程度が理想的。
乳歯がぐらついているときや抜けた直後の歯茎は出血しやすいので、その場所へのブラッシングは避けましょう。
◇手を噛まれないための対策
歯磨きのときに手を噛むのは、次のような原因が考えられます。
- ブラシや指を噛むことを悪いことだと学習していないから
- 歯磨きがストレスになっているから
指やブラシを噛むことを許してしまうと、大人になって噛む力が強くなると、歯磨きをするのが難しくなってしまいます。
子犬のうちから噛んだらしっかりと「ダメ!」などの声掛けをして、ブラシや指は噛んではいけないことを学習させることが必要です。
歯磨きを嫌がっている場合は、口をブラシや指で触ることから慣れさせることで、歯磨きにかかるストレスを軽減させることができます。
無理に叱ったり、いきなり歯磨きを始めたりするのではなく、褒めながら徐々にステップアップしていきましょう。
また、いくら歯磨きに慣れているわんちゃんでも、歯磨きに長い時間をかけてしまうとストレスになってしまいます。
なるべく短時間で行うことが、ストレスを溜めない秘訣です。
ブラシや指を噛んではいけないぶん、おもちゃなど噛んでも良いものを必ず与えて、ストレスを発散させてあげることも大切ですよ。
◇子犬が唸る場合は?
「唸る」という行動には、様々な要因が考えられます。
歯磨きをすることが唸る原因になっている場合は、歯磨きに対してわんちゃんが嫌な思いをしているかもしれません・・・。
子犬が歯磨きを嫌がる主な原因をざっと挙げてみました。
- ぐらついた歯や乳歯が、抜けた歯茎を刺激してしまっている
- ブラシが硬すぎて痛がっている
- そもそも口の中にブラシを入れられることに慣れていない
- 無理やり歯磨きをしている
わんちゃんが歯磨き中に唸るという行為には、必ず何か理由があります。
子犬のうちになぜ唸るのか原因を探って解決しておくことが、成犬になっても長く歯磨きを続けられるコツです。
■歯磨きの具体的方法
歯磨きには、ブラシのほかにもシートやガムなど、いろいろな種類が存在します。
それぞれメリット・デメリットがあるので、わんちゃんに性格や体質に合った商品を選択しましょう。
◇歯磨きガムを使った方法
歯磨きガムはおやつ感覚で歯磨きができるので、比較的どのわんちゃんでも嫌がらずに使用できることが利点です。
ただ、歯磨きガムはブラッシングほど歯垢除去の効果は期待できないことが欠点です。
できれば、歯磨きガムとブラシやシートなどを併用することが理想的ですね。
骨やヒヅメでできたものは、歯が欠けてしまう恐れがあるので子犬には不向きです。
1日で食べきれる無理のない大きさのものを与えましょう。
また、歯磨きガムと言っても、糖類や人工着色料、キシリトールなど、健康に良くない成分が使用されている商品もありますので、購入の際には原材料をよく確認しましょう。
◇歯磨きシートを使った方法
歯磨きシートは、飼い主さんの指に巻き付けて歯や歯茎を拭く商品です。
歯ブラシよりも飼い主さんの指の感覚が感じられるため、入門編に向いています。
ただし、歯の隙間に付着した食べかすは、シートタイプではなかなか落とせません。
シートは破れにくいものを選ぶことがポイントで、使用するときは水分を良く含ませましょう。
最初は前歯をタッチする程度から始めて、慣れてきたら徐々に擦りながら磨いていきます。
前歯を磨くことに抵抗がなくなったら、徐々に奥歯を磨いていきます。
力を入れて擦ると炎症や出血の原因になるので、優しく拭くような感覚で行うのがコツです。
◇ブラシを使った方法
ブラシ型のものは、歯の隙間までしっかり磨くことができるので、食べかす除去や歯石予防に一番適しています。
その一方で、歯ブラシに慣れるまでは時間がかかる子が多いのが欠点です。
使用するブラシは、人間用のものではなく、必ず犬用のものを使用しましょう。
ブラシは柔らかいものから始めると痛みがないのでオススメです。
歯ブラシを使った磨き方は、前歯の外側から、ゆっくり優しく動かしていきます。
私たちが歯磨きをするときのような、シャカシャカとした激しい動きはできません。
前歯が終わったら奥歯へ進んで、慣れてきたら歯の裏側を磨きます。
このとき、歯と歯の間にもブラシを当てて、歯茎をマッサージするように磨くとより効果的です。
歯ブラシに抵抗がある子に対しては、美味しい味の歯磨き用のペーストやジェルを使用してみることもおすすめです。
◇上手な歯磨きの仕方
わんちゃんにとって、鼻や口はとても敏感な器官です。
なので、触られること自体を嫌がる子も多いんです。
まずは、口を触ることからゆっくり慣れさせていきましょう。
歯磨きのコツとしては、以下のようなポイントがあります。
- 前歯の触りやすい場所から行う
- 慣れてきたら徐々に奥歯も磨いていく
- 叱らず、褒めながら行う
- 歯と歯の隙間を重点的に磨き、歯茎をマッサージするように行う
- ゴシゴシ擦らず、撫でるように優しく磨く
- 無理やり奥に指やブラシを入れない
- できるだけ短時間で行う
- 大人しくできたら、褒めてあげる
歯磨きの時間はなるべく短くして、特にトラブルの起こりやすい歯の間や歯茎を重点的に行いましょう。
歯磨きに慣れたからといって、褒めるのを止めてはいけません。
わんちゃんは飼い主さんに褒められることを何よりの喜びとしています。
上手にできたら毎回きちんと褒めてあげることが、歯磨きを好きになってもらうコツなんです。
■歯磨きの注意ポイント
歯磨きは、散歩やブラッシングと同じ感覚で、毎日習慣づけて行うのが理想ですね。
ドライフードを食べているわんちゃんでも、成犬の7割は歯周病にかかっているそうです。
歯周病が進行すると、歯茎に腫れや痛み、出血などの症状が現れ、最終的には抜歯するしかなくなってしまいます。
歯周病の予防には、なんといっても歯磨きが一番効果的な予防法です!
生涯続けていきたい歯磨きは、子犬のうちにいかにストレスなく習慣づけられるかにかかっています。
◇乳歯が抜けるタイミングには注意!痛い部分は無理にやらない
生後4カ月から5カ月目は、乳歯が抜けて永久歯に生え変わる期間です。
この時期の歯磨きには、注意が必要です。
抜けそうな乳歯はぐらついていて、少しの刺激でも痛みや出血の原因になります。
また、歯が抜けてすぐの歯茎も、出血しやすくなっています。
この時期の歯磨きは慎重に行いましょう。
痛みや出血を繰り返していると、子犬は歯磨きそのものを嫌がるようになってしまいます。
歯の生え変わりの時期は、ブラシよりガーゼやシート状など、指で直接歯の状態を確認できるものがおすすめです。
歯磨きをしながら口腔内を確認して、歯の生え変わりの状態を確認すると良いでしょう。
歯がぐらぐらしている箇所や、歯が抜けたあとの歯茎には、なるべく触れないように気を付けてください。
この時期の歯磨きは、優しく撫でる程度で行うのがポイントです。
本格的なブラシによる歯磨きは、永久歯が生えそろってから開始しても十分間に合います。
◇最初は無理せず・・・口に触れられることに慣れてもらう
いきなり指やブラシを口の中に入れられることは、子犬にとって恐怖やストレスでしかありません。
口は、非常に敏感な器官でもあるので、いきなり歯磨きを始めることは禁物です。
まずは、指で口を触らせることに慣れてもらうことから始めましょう。
大人しく触らせてくれたら褒める、という行為を繰り返すことで、大人しく触らせれば良いことがあると、子犬は学習していきます。
慣れてきたら口の中をタッチします。
大人しくできたら褒めます。
触って褒める行為を繰り返しながら、徐々にステップアップしていきましょう。
嫌がるようであれば、無理をせずに一つ前の段階に戻って、根気強く慣れさせていきます。
なかなか慣れなくても、諦めるのではなく、この子はゆっくり覚えていく性格なのだと前抜きに考えてあげてください。
歯磨きができるようになるまでは、歯磨きガムなど、遊びながら歯磨きのできるものを併用すると効率的ですよ。
■まとめ
子犬の歯磨きの開始時期は、お迎えして環境に慣れたら、早速開始しましょう。
理想の頻度は毎食後ですが、1日に1回でも大丈夫です。
歯周病を予防するためには、最低でも1週間に1~2回は行うようにしましょう。
歯磨きには、歯ブラシのほかにも、シートやガーゼ状のものや、歯磨きガムなどが存在します。
子犬には、指に巻き付けるガーゼやシート状のものが、直接指の感覚が伝わるのでおすすめです。
歯磨きは、愛犬の生涯にわたり続けていく行為です。
そのため、飼い主さんもわんちゃんも、ストレスなく行えるようにしたいですね。
子犬の頃にきちんと歯磨きトレーニングをすることで、大人になってからの歯磨きがスムーズになりますよ!