子犬のしつけの基本とは!?絶対に覚えさせたいトイレトレーニングや食事のしつけ方法を紹介
子犬を家族にお迎えしたら、課題となるのが「しつけ」です。
特に室内で飼育する場合に必ず覚えさせたいのが、トイレと食事です。
犬はどうやって物事を学習していくのでしょう?
犬の学習の基本原理や、しつけを始めるのに適した時期、基本となるトイレトレーニングや食事のしつけ方法を詳しく紹介します。
■子犬のしつけの基本原則
飼い主さんは、いきなりしつけを実行するのではく、犬がどうやって物事を学習するかといった、基礎知識を身に着けておくことが必要です。
飼育書などでは、しつけの仕方は記載されていても、犬がどうやって物事を学習していくのかまでは、書かれていないものがほとんどです。
しつけにおいて、実はこの部分が非常に重要なポイントでもあります。
犬の本能や習性などの原理を理解することで、しつけを効率的に成功させることができるようになります。
そして、犬の習性や学び方などの犬の行動学を知っておくことは、飼い主さんの義務でもあると言えるでしょう。
◇子犬の学習パターンの原理を理解しよう
まずは、子犬がどうやって物事を学習していくのかについて学んでいきましょう。
学習とは、産まれてから物事や行動を記憶していくことです。
犬は何度も同じことを繰り返し経験することで、その物事を記憶します。
犬の学習パターンは、「パブロフの犬」とも例えることができます。
「パブロフの犬」とは、ベルが鳴った後にエサがもらえることを繰り返すことで、ベルが鳴っただけでよだれが出るようになるというものです。
このように、犬は経験を繰り返すことで、物事を学習していくのです。
◇犬の初期学習と生涯学習
犬は生涯にわたって様々なことを学びます。
犬の学習には、初期学習と生涯学習の2種類に大きく分類することができます。
初期学習では、社会化期での犬語の学習や、人間を含めたほかの動物とのなれ合いを学習します。
社会化期は、犬が社会性を身に着ける大切な時期です。
社会化期の時期は、生後3週から12週の間で、この時期にしっかりと初期学習を行うことが大切です。
生涯学習とは、社会化期以降に学ぶ期間のことです。
主に課題行動や問題行動の強制を指し、成犬になってからも経験を積み、様々なことを学んでいきます。
◇犬にとってのご褒美・罰リスト
ご褒美とは、犬にとって「良い・得がある」と思うことであり、罰は「嫌・得がない」と思うことを指します。
ここでは、具体的にどのようなことが犬にとってのご褒美になるのか、また罰になるのかを見ていきましょう。
ご褒美
- 褒められる
- 遊んでもらえる
- エサ・おやつがもらえる
- 散歩に連れて行ってもらえる
罰
- 無視する
- 体罰(叩かれる)
- エサをもらえない
- 遊んでもらえない
- 大きな音(雷など)
◇アメとムチ・・・ご褒美と罰を与える基準は?
犬は過去のことを学習することができません。
そのため、起きてしまった出来事に関してお説教をしても無意味と言えます。
たとえば、粗相を発見してそれについて叱っても、犬は何について怒られているのかを理解することができません。
ご褒美の基準は褒めることです。
トイレであれば、トイレで排泄ができたその瞬間に、褒めてあげることが非常に効果的です。
罰を与えるということは、基本的に必要ありません。
罰を与えることよりも、褒められることにより、犬はより効果的に学習をすることができます。
また、叩く・でこぴんをするといった体罰を与えることで、人間に恐怖心を抱いてしまうケースがあります。
こうなってしまうと、しつけをすることが難しくなってしまうため、体罰を与えてしつけることは禁物です。
◇基本は褒めるしつけが大切
犬は完全なる縦社会で暮らす動物です。
縦社会で生活をしている犬にとって、最大のご褒美は、自分よりも順位の上のものに褒められることです。
この習性を活かし、飼い主さんはきちんとリーダーシップをとることも大切です。
リーダーである飼い主さんに褒められることが、犬にとって最大の喜びです。
また、リーダーに褒められたい、認められたいと思うことで、望ましい行動を積極的に学習しようと努力します。
■しつけを始める時期について
では、子犬のしつけはいつ頃から始めることが効果的なのでしょうか。
ここでは、しつけを始める時期について詳しく見ていきましょう。
◇しつけはなるべく早い段階から行うのがベスト
生後3カ月までの社会化期に、子犬はあらゆることを学習していきます。
人間でいう幼児の学習に似ていますが、子犬のほうが心身ともに成長が早いため、短期間で多くを学習します。
この時期は、好奇心も旺盛です。
なるべくほかの生き物に接触させる、飼い主さん以外の人に会わせる、様々な物や音を体験させるなど、社会経験を身に着けさせることが重要です。
本格的なしつけを始める時期としては、生後3カ月を過ぎたころからがベストです。
この時期になると、社会化期も落ち着き、物事への理解力も育ってきます。
大体の子犬が生後2カ月から3カ月ほどで母犬の元を離れ、家族にお迎えされます。
家に迎えた後、ある程度家庭環境になじんだら、早速しつけを始めていきましょう。
※家に来たばかりは、子犬も不安やストレスになりますので、家族や環境に慣れてからのしつけをオススメします。
◇小さいうちからしつけを行うデメリットはあるのか?
生後間もない時期から社会化期などの早すぎる段階では、「待て」や「お座り」などのしつけを始めることは、おすすめできません。
この段階では、あくまでも人間やほかの動物に慣れることや、生活環境に慣れることなど、社会性を身に着ける学習をしていきます。
この段階での本格的なしつけは行わず社会性を身に着けさせることで、後の本格的なしつけを効率化することができます。
この時期にしつけを始めても、学習能力が不足しているため、うまく学習することはできません。
■トイレ・排泄のしつけ方
ここでは、犬が家庭内で生活するうえで欠かせない、トイレトレーニングについて解説していきます。
毎回自由な場所で粗相をされては掃除に手間がかかりますし、家庭内が不衛生になってしまいます。
愛犬を室内で飼育する場合にトイレを覚えてもらうことは、欠かすことのできないしつけの一つです。
◇よくある失敗とその対策
「うちの子がなかなかトイレを覚えない」
この悩みは、トイレトレーニングの際によく聞かれることです。
トイレトレーニングに失敗してしまう場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?
対策と一緒に見ていきましょう。
◇トイレのサイズがあっていない
ペットシーツのサイズが小さすぎたり、薄すぎたりした場合、隅のほうで用を足した際、シーツに収まりきらずこぼれてしまう場合があります。
それを失敗だと叱るのは間違いです。
犬はしっかりとペットシーツで排泄を行っています。
この場合は、叱るのではなく、褒めたうえでペットシーツのサイズを大きくしたり、厚みのあるものに変えるなどの調整を行います。
◇褒めるタイミングがずれている
「気がついたらトイレにおしっこがしてあった」
これを褒めても、犬にしてみればなにを褒められているのかわかりません。
おしっこをトイレでしたら、間を開けず褒めることが大切です。
◇粗相を発見したら叱っている
叱ってしつけるという方法は、一番効率の悪いものです。
犬は前に起きた出来事について叱られても、その理由がわかりません。
失敗したときは叱らずに、成功したときに褒めるしつけが大切です。
◇トイレを失敗しても叱ってはいけない理由
トイレを失敗した際に叱ってばかりいると、犬は排尿行為自体をいけないこと、悪いことだと思い込んでしまうため、注意が必要です。酷くなると飼い主さんの見えないところなどで隠れて排尿行為をするようになったりもします。
トイレトレーニングは、叱るのではなく、褒めて行うことが基本です。
◇トイレトレーニングの具体的方法
トイレを覚えてもらうには、「ペットシーツの上で排泄すること」を学習させることが基本課題です。
排泄はペットシーツの上でする、と学習すれば、家庭内ではもとより外出先でも役立ちます。
基本的なトイレトレーニングの方法は以下の順番で行います。
- トイレを置きたい部屋全体にペットシーツを敷く
- ペットシーツの上で排泄することを覚えさせる
- 排泄をしないペットシーツを排除していく
- 徐々に指定の位置にシーツを移動させる
最終的にトイレを置きたい部屋に、ペットシーツを敷き詰めます。
愛犬が排泄をした際には、すかさず褒めます。
徐々に排泄回数の多い場所と、しない場所が現れますので、排泄のないペットシーツを排除していきます。
この時、ペットシーツ以外の場所で粗相をしてしまうことがあると思いますが、叱ってはいけません。
シーツのない場所で排泄の態勢に入ったら、すかさずペットシーツを下に敷き、最後の一滴でも良いので、シーツの上で排泄をさせ、すかさず褒めます。
最終的に最後の1枚になったら、徐々にトイレにしておきたい場所にシーツを移動していきます。
この方法でトイレトレーニングを行うことは、叱ることもないため、飼い主さんも愛犬もストレスなくトレーニングを行うことができます。
愛犬にも性格があり、覚える期間も性格によって異なります。
しつけを成功させるコツは、飼い主さんが根気強く諦めないことです。
時間がかかっても、愛犬は必ず学習してくれます。
飼い主さんは、愛犬の性格を観察しながら、トレーニングを行うことが重要です。
■食事に関するしつけ方
しつけの基本として、食事に関するトレーニングを行うことも大切です。
ここでは、なぜ食事にしつけが必要なのか、どのようにしつけをすれば良いのかを詳しく見ていきましょう。
◇食事に関するしつけ・・・何をすればいいの?
食事に関するしつけで重要なのは、「待て」です。
食事を目の前にしても待たなければ食べられないという状況は、飼い主さんとの主従関係を確立するうえでとても重要です。
飼い主さんとしっかりと主従関係がとれていないと愛犬は言うことを聞いてくれません。
また、「待て」を覚えさせることは、散歩の際の拾い食い防止にも有効です。
散歩中にはゴミなどの有害な食べ物が落ちていることも少なくありません。
しっかりと「待て」を覚えさせて、愛犬の誤飲を予防しましょう。
◇食事時間のルールを厳密に決める
食事は朝と夕方の2回、散歩の後に与えることが理想です。
1日1回でも良いのですが、空腹の時間が長くなってしまうことで、ストレスが溜まりやすくなってしまいます。
朝と夕方の2回と言っても、たとえば朝は8時、夕方は18時に与える、ときっちり時間を決める必要はありません。
逆に神経質に時間を決めてしまうと、どうしてもその時間に与えることができなかった際に、愛犬は強いストレスを感じてしまいます。
この場合、朝は8時ごろ、夕方は18時ごろと、大まかな目安で与えましょう。
食事を食べ残した際には、いつまでも置いておくのではなく廃棄します。
こうすることで、だらだらと食べる習慣をなくすことができるほか、この時に食べないと食事にありつけないという正しい習慣が身につきます。
また、フードを長時間放置しておくことは、雑菌の繁殖や酸化が進んでしまい、衛生面でも、嗜好性の面でもおすすめできません。
時間内に食べ残したフードは、保存せずに廃棄しましょう。
食事を観察することは、愛犬の食欲を確認できるほか体調管理にも役立ちます。
◇「待て」を成功させるための訓練ポイント
「待て」を覚えさせる方法には、ご褒美が効果的です。
しつけの順番としては、以下の通りです。
- 「待て」という言葉と共に、おやつやおもちゃを目の前に置いて、リードなどを使用し、待たせる
- 数秒待つことができたら、「良し」と言葉をかけ、おやつやおもちゃを与え、褒める
- 「待て」を食事やおやつ、おもちゃを与える際に必ず行うようにする
- 徐々に「待て」の時間を長くしていく
始めはリードを使用し、「待て」の意味を理解することから始めます。
「待て」には、フードのほかにも、おもちゃやおやつで練習することができます。
愛犬が「待て」の間に口を出そうとしたら、すぐに「ダメ」の声掛けと共にリードを素早く引きます。
愛犬への声掛けには、だらだらとお説教するのではなく、「待て」「いけない」「良し」「ダメ」など、はっきりとしたアクセントの短い単語が、理解しやすくおすすめです。
(声掛けの言葉は家族で一致させましょう)
「待て」は数秒から始め、徐々に時間を延ばしていきます。
ある程度「待て」ができるようになったら、リードを外して実践します。
犬の集中力は長くても5分~10分程度だと言われています。
待たせる時間や練習の時間は、犬の集中力に合わせて効率的に行いましょう。
■まとめ
犬は同じことを何度も経験することで、物事を学習する習性があります。
しつけを始める時期は、生後3か月以降がおすすめです。
3か月以降になると、子犬の社会化期が終わり、物事への理解力が高まるため、しつけをするのに適しています。
犬のしつけは、叱るのではなく、褒めて行うことが大切です。
しつけを効率よく行うためには、縦社会の習性を活かし、飼い主さんがしっかりとリーダーシップを確保することが大切です。
犬は自分よりも順位の上のものに守ってもらう代わりに、服従心を抱き、リーダーの言うことを忠実に守ります。
犬の習性を理解し、正しいトレーニングを行えば、性格により覚える時間は異なりますが、必ず飼い主さんの伝えたいことを理解してくれる、とても賢い動物です。
しつけをすることは、犬の賢さを示すだけではなく、人間社会での生活に対応させるほか、大切な愛犬の命を守ることであると言えるのです。